電通、PBR改善コンサルに進出 国内約400人のコンサルタントが企業変革を支援

電通グループはこれまでの広告・クリエイティブ領域から経営コンサルティング事業へと軸足を移し、国内外での積極的なM&Aを通じて非広告領域の売上比率を拡大してきました。しかし、こうした投資のリスクが重なり、直近では過去最大規模の赤字を計上。新サービスの立ち上げが復活への試金石となります。
2025年3月25日、電通は企業のPBR(株価純資産倍率)向上を支援する「IRフォー・グロース」を開始しました。投資家向け広報(IR)の強化ニーズが高まる中、電通グループの強みである広告制作・プロモーションのノウハウを活かし、企業が打ち出すべきパーパスや成長ストーリーを分かりやすい資料や統合報告書、SNS・動画などで一気通貫に支援。東証が今夏にも上場企業にIR体制整備を求める動きがあるなか、上場維持の負担を軽減しつつ、PER(株価収益率)向上のための投資家期待醸成と、ROE(自己資本利益率)改善につながる社員エンゲージメント向上を狙います。
電通第1ビジネス・トランスフォーメーション局・松岡裕志氏は「IR戦略の策定だけでなく、実行フェーズまで伴走し、クリエイティブ要素で投資家や社員のマインドを動かす」と説明。これによりIRを起点とした部門横断的な課題解決を一手に引き受け、PBR改善を実現します。
非広告領域へのシフトは加速しており、2016年に15%だった広告以外の売上総利益比率は、2023年に33%へ上昇。コンサル人員は国内約400名、海外でもスペインの現地コンサルティング会社を買収するなど、グローバル展開を強化しています。今回の「IRフォー・グロース」は、電通の新たな収益基盤確立と再成長の鍵を握るサービスとなる見込みです。
電通グループは、従来の広告ビジネスから経営コンサルティングへと事業の重心をシフトしていますが、積極的なM&A投資がかえって過去最大の赤字を招いたため、国内向けの新サービスが復活の鍵を握ることになります。
2025年3月25日、電通は企業のPBR(株価純資産倍率)向上を支援する「IRフォー・グロース」をローンチしました。投資家向け広報(IR)の強化ニーズが高まる中、同社の広告制作・プロモーション技術を活かし、投資家向け資料や統合報告書の作成、SNS・動画による情報発信までをワンストップで提供。東証が今夏にもIR体制の整備を義務づける方向を打ち出すなか、上場企業の負担増を代行し、PBR改善を後押しします。
新サービスの特徴は、IR支援を起点に部門横断的な課題解決まで担う点にあります。企業のIRはパーパスや成長戦略を内外へ発信するハブ機能ですが、広報・経営企画・ESG・人事などが分業化され、各部門が別々にコンサルを入れがちです。電通はIRから浮かび上がった課題を統合的に解決し、PER向上のための投資家期待醸成と、ROE改善につながる社員エンゲージメント強化を同時に支援します。第1ビジネス・トランスフォーメーション局の松岡裕志氏は「IR戦略の策定だけでなく、実行まで伴走し、クリエイティブで投資家・社員のマインドを動かす」と語ります。
電通は21年のドリームインキュベータ出資、22年のイグニション・ポイント買収など、非広告領域を積極強化。売上総利益に占める非広告分野は2016年の15%から2023年には33%に拡大し、国内約400名のコンサルタントが企業変革を支えています。23年にはスペインのコンサル企業買収で海外展開も着々と進めており、「IRフォー・グロース」は同社のコンサル事業再編と再成長戦略の中核を成すサービスと言えそうです。
引用元記事:https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/053000515/