伊藤忠商事、電通総研TOBで「商社版アクセンチュア」を目指す 総合商社のコンサル化が加速

伊藤忠商事は2026年8月末、グループ会社を通じてITサービス企業の電通総研に対する株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。買収総額は約2151億円で、電通総研の株式を最大38.22%取得する計画。親会社の電通グループと共同で株式の非公開化を目指す。買収後、電通総研は伊藤忠商事の持ち分法適用会社となる見込みだ。
今回の買収の背景には、総合商社がコンサルティングからシステム構築、業務改革までを一貫して支援する体制を整えようとする動きがある。従来のコンサルティングは戦略立案と実行が分離しており、企業側にも戦略を事業に落とし込む能力が求められてきた。近年はAIやDXの進展を背景に、構想の策定にとどまらず、実装や運用まで担うサービスモデルが重要性を増している。
このモデルを先行して展開してきたのがアクセンチュアだ。同社は経営戦略の立案に加え、システム構築や業務効率化などへ事業領域を拡大し、戦略から実行までを一体的に支援する体制を築いてきた。
伊藤忠商事も、買収や提携を通じて同様の機能強化を進めている。2024年にはボストン コンサルティング グループ(BCG)との合弁会社「I&Bコンサルティング」を設立し、経営変革の支援体制を整備。2023年には約3876億円を投じて伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)を完全子会社化し、システム開発・導入機能を強化した。また、ベルシステム24などを通じて業務受託サービスを展開するほか、CTCでは製造現場のデータ活用を支援するソリューションも提供している。
今回の電通総研の買収は、こうした取り組みに顧客接点の強化という機能を加えるものと位置付けられる。電通総研の顧客体験向上につながるシステム開発力と、電通グループが持つマーケティングの知見を組み合わせ、消費者との接点を強化する狙いがあるとみられる。伊藤忠商事は、経営戦略の立案からシステム構築、業務改善、マーケティングまで、幅広い領域をカバーする体制の構築を進めている。
一方、三菱商事もデジタル分野のコンサルティング機能を強化している。同社は子会社のMCD3を中心に、システム構築や業務効率化などの機能を集約。2021年にNTTとの合弁で設立したインダストリー・ワンを完全子会社化した後、2025年7月にはエムシーデジタルなどとともにMCD3へ再編した。製造業のデジタル化では三菱商事テクノスがDX支援を展開し、顧客接点の強化ではKDDIとの共同経営に移行したローソンを活用している。
両社はともに、戦略立案からシステム構築、業務改革、顧客接点の強化までを担う体制を目指している。ただし、伊藤忠商事が大型買収や外部企業との提携を通じて必要な機能を取り込む一方、三菱商事は既存事業の再編・集約を軸に体制を整えている点で違いがある。
総合商社によるコンサルティング機能の強化は、単なる事業領域の拡大にとどまらない。多様な産業で培った事業基盤とデジタル技術を組み合わせ、企業の課題解決を構想から実装まで一貫して支援するビジネスモデルへの転換が進んでいる。
引用元記事:https://www.businessinsider.jp/article/2610-sogo-shosha-consulting-strategy/



