有限責任監査法人トーマツ、多面的リスク評価AIモデルで特許取得 高リスク取引の検出高度化へ


有限責任監査法人トーマツは、取引の多面的リスク評価モデルに関する特許(第7763988号)を取得した。2026年6月から財務諸表監査におけるパイロット適用を開始し、循環取引などの高リスク取引の効率的な検出を目指す。

企業を取り巻く取引の複雑化が進む中、不正や誤謬が潜む異常取引の早期発見は、財務報告の信頼性確保において重要性を増している。特に循環取引は、複数企業が関与し外形上は通常取引と見分けがつきにくいため、見逃された場合の影響が大きいとされる。

従来、監査人は異常取引の特徴をリスクシナリオとして設定し評価してきたが、複数シナリオに該当する取引の優先順位付けや重み付けに課題があった。今回のモデルでは、AIがシナリオ間の関連性を分析し重み付けを行うことで、統合スコアを算出。これにより、複数の軽度なリスク要因を持つ取引も高リスクとして識別できるようになる。

統合スコアは各取引の総合リスクを示し、数値が高いほどリスクが高いことを意味する。監査人はこのスコアを基に対象取引を抽出し、取引の実態や経済合理性について詳細な検証を行う。

本モデルは、既存の複合的異常検知モデルを発展させたものであり、まずは循環取引リスクが高い業種を対象に実務適用を進める方針。今後は実務での知見を蓄積し、不正リスク領域全体での活用を拡大していく。

同法人は、監査プロセスの高度化を目指す「Audit Innovation®」の一環として、デジタル技術やデータ活用を取り入れた高付加価値な監査の実現を推進している。

引用元記事:https://www.asahi.com/and/pressrelease/16420783