NTTデータとフォーティエンス、AIでSCM暗黙知を継承 「デジタルSECIモデル」の実証開始

NTTデータとフォーティエンスコンサルティング(旧クニエ)は、製造業のサプライチェーンマネジメント(SCM)における熟練者のノウハウ継承を支援する「デジタルSECIモデル」の実証を2026年5月から開始した。AIエージェントと知識創造理論「SECIモデル」を組み合わせることで、需要予測や材料手配などSCM業務における暗黙知を形式知化し、次世代人材の育成や組織全体での知識共有につなげる。

製造業では労働人口の減少や熟練者不足を背景に、業務ノウハウの継承が大きな課題となっている。特にSCM業務では、需要変動や在庫状況、調達条件、物流制約など複数の要素を総合的に判断する必要があり、その意思決定は経験豊富な担当者の知見に依存しやすい。このため、マニュアル化や標準化だけでは対応しきれないケースが多い。

今回の実証では、一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏と竹内弘高氏が提唱したSECIモデルを基盤に、AIエージェントを活用した独自フレームワークを構築。製造業の材料手配計画業務を対象に、熟練者とAIエージェントとの対話を通じて、「何を見て、どのように判断したか」という意思決定プロセスを継続的に学習・更新し、組織のナレッジとして蓄積する仕組みを検証する。

NTTデータはAIエージェント基盤の設計・実装を担当し、フォーティエンスコンサルティングはSCM領域で培った業務知見を生かして知識設計や業務設計を担う。

実証では、SCM計画の立案から実行、振り返りまでを支援する複数のAIエージェントを活用する。計画立案段階では「チューターAIエージェント」が前回計画からの変更点や留意事項、業務ルールを提示し、AIが答えを示すのではなく、判断すべき観点を示すことで未熟練者の思考を支援する。

一方、「インタビューAIエージェント」は計画結果を評価し、熟練者や未熟練者との対話を通じて判断理由や着眼点を引き出す。これにより、本人も言語化しきれていなかった暗黙知を組織全体で共有できるナレッジへと変換し、継続的な知識循環を促す。

両社は、本取り組みの特徴として、意思決定そのものをAIに置き換えるのではなく、人の判断を支援する仕組みである点を挙げる。AIは文脈情報の整理や判断観点の提示、振り返りを支援し、人とAI、人と人との対話を通じて知識を進化させていく考え方を採用している。

実証を通じて、SCM熟練者の知識継承や判断品質の向上に加え、過剰在庫の抑制やキャッシュコンバージョンサイクルの短縮など、サプライチェーン全体の効率化にもつなげることを目指す。

今後は、材料手配計画業務以外にも対象を拡大し、生産、物流、販売を含めたSCM全体で知識を共有・活用できる基盤の構築を進める方針。将来的には、AIと人が協働する次世代の知識創造型SCMを実現し、製造業における技術継承や人材不足といった課題解決を支援していく考えだ。

 

引用元記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000104.000043765.html