大和証券グループ、生成AIでコンサル業務の質向上 業務効率化と投資教育にも活用

大和証券グループ本社は、定年退職後の資産形成ニーズが高まる中、コンサルティング業務の質を高めるためにAI技術の導入を積極的に進めている。業務の効率化によって社員がより高度な提案に集中できる体制を整え、顧客満足度の向上を図る。
2025年1月から本格導入した面談記録の自動化システムでは、生成AIなどを活用し、営業担当者による面談後の記録作業を効率化。従来は手入力に多くの時間を要していたが、記録時間を約45%削減する成果が出ている。現在、全国の営業担当者の約8割が同システムを利用しており、記録の精度向上により文字数は従来の約4倍に増加した。大和証券グループ本社の荻野明彦社長は「事前準備を含め、十分な時間を確保することで、お客さまのニーズを的確に捉えた提案が可能になる」と語る。
さらに2024年10月には、音声による自然な対話が可能な「AIオペレーター」を導入。NISAに関する相談やログイン手続きの案内などを24時間対応で受け付ける仕組みで、すでに2万件以上の利用実績がある。顧客の待ち時間を短縮できる点も好評だ。
教育分野においてもAIの活用を進めている。2025年4月には、スマートフォン向けの金融教育アプリ「Daiwa Lens β版」をリリース。写真に写った日用品などから連想される上場企業の株価を表示し、クリックで企業情報も確認できる。ユーザーの関心を可視化するランキング機能も搭載し、難解に思われがちな投資を身近に感じられる工夫が施されている。現在のダウンロード数は約2000件で、中高生向け授業での活用も計画中。
デジタル推進部の佐藤孝嗣氏は「身近なモノをきっかけに、投資に興味を持ってもらう第一歩にしたい」と述べており、今後も顧客接点の質向上と金融リテラシーの普及を両立させる取り組みを強化していく構えだ。
引用元記事:https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00751848