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AIエージェント市場、2025年度に152億円へ急拡大 デロイト トーマツ ミック経済研究所が調査

デロイト トーマツ ミック経済研究所は、AIエージェントを活用する製品・サービスの市場動向について調査を実施し、2028年度までの市場予測を公表した。調査は2025年2月から5月にかけて、AIエージェント関連製品・サービスを提供する18社にヒアリングを行い、他ベンダーの情報も加味して市場全体を推計したもの。

■ 市場は年2倍ペースで成長、2028年度に1216億円規模に

調査によると、2024年度の市場規模は65億円(見込み)、2025年度は前年比232%増の152億円に急拡大する見通し。さらに2026年度には前年比208%増の316億円と、生成AIの活用を背景に急速な成長が続くと予測されている。

同研究所は「国内の労働力不足が将来的に加速するなか、制限のないデジタル労働力としてAIエージェントが注目されている」と、市場拡大の背景を分析している。

また、同研究所は、プロダクトライセンス型のソリューションが引き続き成長を牽引し、市場は年平均成長率107.7%で拡大、2028年度には1216億円規模に達すると見込んでいる。


■ 主要用途はフロントオフィスからバックオフィスへ拡大

AIエージェントの主な用途は、営業支援やマーケティングなどのフロントオフィス業務に集中しており、2024年度時点では市場全体の93.6%を占める。一方、2025年度はバックオフィス業務(販売管理、人事給与、財務会計など)の比率が30.0%にまで拡大する見込み(図1参照)。

表1に示された用途分類では、AIエージェントは以下のような幅広い業務に適用されている:

用途例(抜粋):

  • 営業支援:議事録作成、提案書作成支援、CRM入力など
  • コンタクトセンター:FAQ自動応答、非構造データの整理
  • マーケティング:Webクローリング、公開情報分析
  • 人事給与:出退勤データ処理、勤務状況分析
  • 製造業務支援:トラブル対応支援、安全衛生管理
  • PR・IR支援:広報・IR資料作成、メディア対応準備
  • 一般業務:会議室予約、スケジューリング支援

■ SaaS型AIが市場けん引、「ホリゾンタルSaaS」が鍵に

市場成長を牽引するのは、業種・業務を問わず横断的に活用される**「ホリゾンタルSaaS」型のプロダクトライセンス**。特にフロントオフィス業務における効率化ニーズの高まりが、SaaS型AIエージェント普及の後押しになっている。


今回の調査結果は、2025年5月に発刊されたレポート
**「LLM(大規模言語モデル)を自律的に連携させ非定型業務を自動化するAIエージェント ソリューションサービスの市場動向 2025年度版」**に基づくもの。今後、業務自動化や省力化を目指す企業にとって、AIエージェント活用の進展がますます加速しそうだ。

引用元記事:https://it.impress.co.jp/articles/-/27960