【特集】喰われる自治体 ―流山ツーリズムデザインの実態―

コンサル企業と自治体の関係に警鐘を鳴らした特集「喰われる自治体」から1年。新たな証言や内部告発に基づき、第2弾では、流山市の第三セクター「流山ツーリズムデザイン(NTD)」の実情に迫る。
■市長肝煎りの観光会社、債務超過で社長交代
人口増加と都市開発で注目される千葉県流山市。特にTX(つくばエクスプレス)沿線の発展は顕著で、「流山おおたかの森」地区は住みたい街ランキングの常連だ。その成長を牽引してきたのが、マーケティング重視の市政を掲げる井崎義治市長だ。
だが、その井崎市長が主導して設立した観光振興の中核機関「流山ツーリズムデザイン(NTD)」が経営不振に陥り、約4800万円の債務を抱え、2024年には社長交代に至っていたことが判明した。
■地方創生の象徴が揺らぐ
NTDは2020年、市が過半を出資する第三セクターとして設立。流山本町地区の観光振興を担い、古民家再生や白みりん事業に取り組んできた。元代表はJTB出身の観光コンサル出身者だったが、収益性に乏しく、委託カフェはわずか2年で撤退。債務は2023年度末に6177万円に達し、代表は辞任した。
後任には、外資系コンサル出身の吉河智彦氏が就任。白みりんをテーマにした「白みりんミュージアム」を開設し、巻き返しを図る。2024年4月には債務を完済したとされるが、その背景には1億円超に上る市からの補助金がある。
■マーケティングだけでは街は救えない
流山本町は老舗や観光資源に恵まれているものの、交通の便が悪く、TX沿線のような発展には至っていない。過去にも市の補助金を得て開業したイタリアンレストランなどが撤退しており、観光振興策の継続性と実効性には疑問が残る。
また、TX開通や土地区画整理は、井崎市長就任前の計画が大きく関与しており、「市長の実績」とするには疑問の声も出ている。
ある市民は「マーケティングだけで街が発展するなら、流山本町もとっくに変わっていたはず」と話す。自治体主導の“稼ぐ観光”の限界と、第三セクターをめぐる自治体と外部人材の関係性に、今後も注視が必要だ。
引用元記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/13fdfd70eca9eaf78ccf11b669fe89f28335c4c6?page=3